スキップフロアの間取りはどうしたらいい?2階リビングと比較して考えよう!

photo by YAMADAHOMES
家を建てるなら、誰もが「敷地を最大限活かした広い空間を手に入れたい」と考えているのではないでしょうか。今、特に都市部の狭小住宅で取り入れられている「スキップフロア」は、狭い敷地でも広い住空間を叶える方法として注目されています。
そんなスキップフロアを使った間取りやデザインを、同じく狭小住宅に向いている「二階リビング」と比較してご紹介します。
目次
今話題のスキップフロアとは?

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スキップフロアとは、建築物において、一階と二階、二階と三階など、階と階の間に高低差を設けて作られたフロアのことをいいます。「中二階」や「小上がり」を想像するとわかりやすいでしょう。
まずは、居住スペースを広げたり、部屋にリズムを持たせたりする方法として取り入れられる、スキップフロアの特徴からご紹介します。
開放的な空間
壁や扉で四方が囲まれている部屋と違い、スキップフロアには壁の仕切りがないため、広々とした開放的な空間を演出できます。スキップフロアに窓を設けて太陽光を取り入れれば、より開放的な雰囲気を楽しめるでしょう。
土地が狭い・高さ制限があっても床面積を増やせる
家を建てる予定の土地が狭い・建ぺい率が低い・高さ制限があるなど、居住スペースが限られている場合でも、スキップフロアなら、階と階の間の空間を有効活用して床面積を増やすことが可能です。
家族のコミュニケーションが取りやすい
子どもにマイルームを与えても、目が届かなかったりコミュニケーションが取りづらかったりして、特に幼い頃は子ども部屋を有効活用できていないことも多いでしょう。
スキップフロアなら、リビングなどの他の部屋とひと続きになっているため、子どもに目が届きやすくて安心です。誰かが出かけたり帰宅したりする様子もすぐに確認することができ、家族間のコミュニケーションが取りやすいという特徴があります。
スキップフロアと二階リビングどちらがいい?比較して考えよう!
家を建てるスペースが限られていたり、隣家との距離が近く一階に採光が取れなかったりする場合、二階にリビングを設ける方法が一般的です。
しかし、住空間の狭さや採光は、スキップフロアで解決できる場合もあります。二階リビングとスキップフロア、それぞれの特徴やメリット、デメリットを見ていきましょう。
暮らしやすさを比較
二階がリビングの家では、一階に日当たりがあまり関係ない水回りや寝室を配置します。それぞれの個室がありプライバシーが確保できますが、玄関から直接自室に向かえるため、家族間のコミュニケーションが取りづらくなってしまいます。一方スキップフロアは扉がなく開放感があるので防音性やプライバシーは確保しづらいものの、いつでも家族の気配を感じられるのが特徴です。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、どちらのスタイルが家族にとって暮らしやすいか、よく検討しましょう。
日当たりを比較
家族団らんのひとときを過ごすリビングは、太陽光を取り入れてできるだけ明るい雰囲気にしたいと考える人が多いでしょう。
二階は一階よりも採光に優れているため、一階の日当たりが悪い場合は、二階にリビングを設計するのが一般的です。とはいえ、二階にリビングを設計する場合、直接日が当たり、夏場は暑くなりすぎることもあるので、防熱対策を考えておくことが大切です。
スキップフロアがあると、一階リビングでも十分に採光を確保できます。壁で仕切らない開放感のあるスキップフロアは、中二階に窓を取り付ければ、高低差を活かして太陽光を取り入れることが可能です。直接日が当たらないので、二階リビングのような暑さを感じることもありません。
生活導線を比較
家を設計する際に考えておきたいのが「生活導線」です。
スーパーで買い物を終えてキッチンに向かう際、二階リビングなら重い荷物を持って階段を上らなければなりません。一方、仕事で疲れて帰って来た際に、一階にお風呂場や寝室があればすぐに休めるというメリットもあります。
スキップフロアの場合、ひとつひとつの階段の数は少なくなりますが、生活導線上にいくつも段差ができるため、特にお年寄りには不便に感じることもあります。段差を緩やかにしたり、よく使う設備や個人の部屋をどこにするか間取りを工夫したりと、対策しておきましょう。
スキップフロアか二階リビングかで悩んだ場合、家族の生活導線をシミュレーションして、より暮らしやすい方を選びましょう。
間取りを比較
二階をリビングにする場合、それぞれの階にフラットな部屋を設けます。一方スキップフロアでは、階と階のデッドスペースともいえる空間に居住スペースを設けられ、さらに廊下も不要なため、敷地を最大限活用した間取りを実現できます。また、スキップフロアの下に収納を作ると、さらにデッドスペースを活用できるのもポイントです。
開放感を比較
スキップフロアは、各階がつながっていて仕切りがないため、広々とした開放的な空間が出来あがります。
一方二階リビングだと、二階をそのままリビングのスペースにできますが、四方が壁や窓で仕切られる分、空間の広がりはあまり感じられないでしょう。開放感をアップさせるには、天井を高く取ったり、天窓を取り入れたりなどの工夫が必要です。
スキップフロアの間取りを決める際に気をつけたいポイント

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開放感がある、住空間を広げられるなど、メリットが多いスキップフロアですが、設計にあたって気をつけたいポイントもあります。間取りを決める際は注意点についても確認しておきましょう。
断熱や空調設備、ランニングコストの確認
開放感があると、その分家の空調が効きづらくなり、光熱費など毎月のランニングコストも増えてしまいます。スキップフロアを取り入れる際は、断熱・空調設備はよく確認し、毎月どのくらいの光熱費がかかるのかシミュレーションしておきましょう。
また、スキップフロアに窓を設けることで採光を確保できますが、その分夏場は暑さが増します。遮光カーテンを取り付けるなど、日差しによる暑さ対策も行いましょう。
建築費用が高い
スキップフロアを設けると、単純に一階・二階に分かれた家よりも建築コストがかかります。コストに見合ったメリットが得られるのかどうか、前もって家族でよく話し合っておきましょう。
施工業者が限られる
スキップフロアは施工が難しいといわれており、全ての施工業者が対応しているわけではないので注意が必要です。また、スキップフロアを設けることで耐震性が落ちる可能性もあるので、施工に慣れた業者に依頼しましょう。
使い勝手や将来のことも考える
家に段差ができるスキップフロアは、子どもや高齢者にとって使い勝手が悪い場合もあります。将来自身が高齢化することも見据えて、デザインだけでなく暮らしやすさを考えた設計にしましょう。
固定資産税が上がる可能性も
スキップフロアを設けて延べ床面積が広がった分、土地や住宅にかかる固定資産税が上がる場合があります。固定資産税は地方税なので、家を建てる地域の自治体によってその基準には差があるため、その地域の基準を確認しましょう。
一般的に壁からの出幅が2m以下のベランダやバルコニー、天井が低く面積が狭いロフトは、延べ床面積にはカウントされません。固定資産税対策なら、これらを取り入れて空間を広げるのもひとつの方法です。
自治体によってはスキップフロアを作れない場合がある
家を建てる際、建築基準法に適合しているかどうかの審査をしてもらう必要がありますが、自治体によって判断が分かれます。
中二階が一階分としてカウントされてしまい三階建てと判断されたり、そもそもスキップフロア自体が認めてもらえなかったりする場合があるため、注意が必要です。
その地域でスキップフロアの住宅を施工した実績のある業者に依頼したり、問い合わせたりするのがいいでしょう。
おわりに
スキップフロアは、もともと狭小住宅の居住スペースを確保するための建築方法です。
敷地の狭い家でも開放感を演出できたり、家族間のコミュニケーションも取りやすかったりとメリットは大きいですが、空調設備や建築費用などの注意すべき点をしっかりと確認おくことが大切です。
開放的な空間が叶うスキップフロア。広さや間取りに工夫をして、うまく取り入れてください。

スマチエ編集部

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