家庭用太陽光発電と蓄電池でいざという時の停電対策を!
災害はいつどこで起こるか分からないため、避けたいと思っても避けられることではありません。非常食や水などの防災グッズも必要ですが、普段電気に頼って生活している私たちは、「停電対策」を行うことも大切です。
いざという時のために、家庭用太陽光発電と蓄電池を組み合わせた停電対策について考えてみましょう。
目次
災害時の停電対策をしっかりと行っておくべき理由
自然災害で停電が起こる可能性は常にあるでしょう。災害時の対策として、しっかりとした停電対策が重要な理由を解説します。
復旧までにかなりの時間を要する場合がある
災害時の停電は、復旧までに時間がかかる場合があります。どのくらいの時間がかかったのか、過去の事例を見ていきましょう。
台風による被害での停電
2019年は台風被害が多く、台風に伴う停電が頻発した年です。台風15号では復旧に時間がかかり、停電戸数は93万戸、その内の99%が復旧したのは停電発生から280時間が経過してからでした。
(参考:経済産業省「台風15号・19号に伴う停電復旧プロセス 等に係る個別論点について」)
地震による被害での停電
2018年の北海道胆振東部地震では、北海道全域で長時間停電が続きました。
発生から30時間経過時点での解消率は5割程度で、北海道電力が復旧宣言を出したのが64時間後。しかし、その時点ではまだ停電の完全解消には至っておらず、完全解消には約1カ月もの時間を要するという事態になりました。
(参考:総務省「通信・放送の被害状況」)
停電時の電源確保が必要な理由
災害による停電時、まずは安否確認や情報収集のために、携帯やスマートフォンの電源確保が必要です。
次に、真っ暗な家の中を照らす照明、冷蔵庫や冷暖房、給湯器、電子レンジや炊飯器などの調理器具など、家の中の家電が動かないと生活が成り立ちません。携帯などの充電ができるラジオやランタンなどの防災グッズもありますが、それだけですべてを補うには不十分だといえるでしょう。
断水してしまった場合、水はためたり買ったりすることができますが、電気はもらうことができません。ガスの供給が停止しても、電気があれば電気ポットで水を沸かすことができます。電気は容易にもらったり他のものに変えたりすることができないため、自分自身で対策をとって確保することが重要です。
太陽光発電と蓄電池があれば、長期にわたる停電にもしっかりと対応できるため、災害対策として取り入れておくと、いざという時にも安心です。
【比較】家庭用太陽光発電と蓄電池のメリット・デメリット、選び方
太陽光発電や蓄電池の導入にあたって、メリットとデメリットを把握しておくことも大切です。
メリットとデメリットにはどんなものがあるのか、また、選び方についてまとめました。導入をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電のメリットは、何といっても電気代の削減です。電力会社の料金プランも、太陽光発電を利用している方専用のお得なプランに変更できます。
また、国が定めた価格で電力会社が余剰電力を買い取る固定価格買取制度(FIT)を利用した投資価値があります。ただし、買取価格は年々下がってきているので、太陽光発電を検討している方は早めの導入をおすすめします。
さらに停電時の電力供給にも使えるため、いざという時の大きな備えになります。
デメリットは、導入コストが高いことと、天候や季節によって発電量が変わってしまうことが挙げられます。
近年では太陽光発電の技術も向上し、性能が良くなり、価格も低下傾向にあります。ソーラーパネルの寿命も長くなり、メンテナンス費用も安価になってきていますが、やはり安い買い物ではありません。
屋根の向きや形状、傾斜、面積や積雪、塩害など、設置に向いていない家、向いていない地域もあるため、設置する場合は十分に検討することが重要です。
太陽光発電の選び方
太陽光発電を選ぶときは、複数の業者の価格を相場価格と比較してみましょう。なぜ比較が必要かというと、ソーラーパネルの変換効率(単位面積あたりの発電量)とkW単価(出力1kWあたりの導入コスト)はメーカーにより差があるためです。各メーカーの性能とおおよその相場はネットでも調べることができます。
他にも、設置費用やメンテナンス費用、保証期間、火災や自然災害時の修理費保証などもメーカーで異なるため、しっかりチェックしておきましょう。
蓄電池のメリット・デメリット
蓄電池とは、電気をためておくことができる電池のことをいい、繰り返し使えます。
蓄電池のメリットは、深夜の安い時間帯に充電し、日中必要なときに電気を使用することで電気代が削減できることでしょう。災害時の予備バッテリーとしても使用できるため、災害対策としても効果を発揮します。
デメリットとしては、こちらも導入コストの高さが挙げられますが、太陽光発電同様に技術の向上によって性能が上がり、価格は下がってきています。
さらに蓄電池の導入は国も推奨しているため、国や地方自治体からの補助金制度があります。しかし、この制度は予算がなくなると終了する可能性もあるため、利用可能かどうか市町村のホームページで確認しておきましょう。
蓄電池の選び方
普段どのくらいの電力消費があり、どのような生活をしたいかによって、蓄電池に求める容量と出力量が変わります。容量と出力量はメーカーによって差があるため、ライフスタイルやいざという時にどの程度バックアップを必要とするかを考えてみましょう。
平常時、太陽光発電の余剰電力を自家消費にまわすための容量と、災害時などの電力確保に必要な容量も異なるため、注意が必要です。
また、停電時に必要最小限の電気で良いのか、普段と変わりなく家電を使うことができるようにするのか、考え方によっても異なります。
容量が大きくても、出力量が小さければ、大型家電のような電気量が多いものは動かせません。そのため、小さなお子さんや、介護が必要な家族がいるなどの家庭環境やライフスタイルから、必要な容量と出力量を考えることがポイントです。
停電対策には家庭用太陽光発電と蓄電池の組み合わせが◎
家庭用太陽光発電と蓄電池は、組み合わせることでメリットがさらに増えます。どのようなメリットがあるのかご紹介します。
家庭用太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリット
太陽光発電と蓄電池を組み合わせると、長期の停電に対応できるため、停電対策としては非常に安心できるでしょう。太陽光発電だけでは、発電できる日中しか電気を使うことができませんが、蓄電池で電気をためると夜間も使用することができます。
最近では、「2019年問題」と「卒FIT」関連の話題でも注目されており、導入を検討する方が増えてきました。2019年問題とは、太陽光発電で得られた余剰電力の固定価格買取制度(FIT)には10年という期間があり、制度が導入された2009年当初から利用している人は早くて2019年11月には買取期間が終了する、というもの。そこで、卒FIT後に蓄電池を導入して、電気を自家消費に切り替えることができるのも大きなメリットです。
住宅へ取り付けるときのポイント
太陽光発電は取り付け方によって、デメリットのいくつかを解消することができるでしょう。屋根の傾斜(太陽光の入射角)や向きは発電量を左右します。地域の特性(平均日照時間や積雪の有無など)も発電量に影響しますので、よく理解して設置することが大切です。
これから住宅を建てるという方は、最初から太陽光発電を設置する可能性を含めて設計することがポイントです。
太陽光発電のパワーコンプレッサーや蓄電池の置き場所も、場所によっては家の美観を損ねたり効率が悪くなったりする原因になります。
設置後の雨漏り防止やソーラーパネルの重さに耐えるための屋根補強工事なども必要となるので、これも家の設計段階で考えておくと大きなデメリットにはなりません。
太陽光発電の需要増加により設置する方が増えているので、ハウスメーカーや工務店も実績やノウハウのある業者が増えてきました。まずは太陽光発電業者と、ハウスメーカーや工務店などに相談してみましょう。
おわりに
電気は、いまや私たちの生活にはなくてはならないものです。停電すると普段いかに電気に頼る生活をしているか、身に染みて分かることでしょう。停電が長期化すればするほど、不便で生活が困難になります。
太陽光発電と蓄電池は電気代削減や投資価値の他に、災害時の停電対策に非常に有効です。その有用性を高めるには導入時の設置方法が大きく関わるので、この記事を参考に検討してみてはいかがでしょうか。

スマチエ編集部

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